無への道


人生とは、「無」から始まり、最後にはまた「無」に戻るものです。苦しみが多い人生ほど、手に入る幸福や喜びも大きく感じられるでしょう。では、なぜ人は苦しむのでしょうか。それは、欲望や期待があるからです。これらがない限り、苦しみも生じません。

欲望や期待、希望は「カルマ」となります。それらが叶うまで、何度も生まれ変わり、輪廻を繰り返すことになるのです。しかし、欲望や期待を断ち切ることができれば、無への最短の道を進むことができます。瞑想はその手法の最適な手段となります。

瞑想を習慣化すると心を無にする事ができるようになります。この無の状態を日常的に維持できるように目指す事が無苦研究所の目標です。

現在抱えている欲望や期待、希望は、何度も生まれ変わる中で世界観や置かれる立場が変わりいずれ成就するのは明らかです。今世で全てのカルマを終わらそうと思うからこの世は不完全と感じる事でしょう。人生を数百年、数千年という長いスパンで見れば、いずれカルマは消化され輪廻の輪から抜け出せるのです。

この世は、何もしなくても完璧であり、完全です。

「目の前にある人や現実を思い通りに変える必要はない。抗う必要など何一つなっかた」

それを完全に理解した者が、悟りの扉を開くことができるのです。

これこそが、智慧の完成です。

智慧の完成を迎えた人は語ることも、諭すことも期待や希望のカルマを新たに産むことになると理解しています。

悟りを開いた者はカルマを新たに産む事はありません。



瞑想を行っていると、「ああすれば良かったのかもしれない」「こうしていれば、あの難関を克服できたのではないか」といった考えが浮かぶことがあります。しかし、これらの考えに振り回されてはいけません。後悔もまたカルマとなるのです。あなたの思考や判断には基本的に誤りはありません。むしろ、それを修正しようとすればするほど、悟りから遠ざかってしまいます。

「この世は何も変える必要がない。自分を含めてこの世は完璧なものなのだ。」と、心の底からこの事実を受け入れることが重要です。すべてをありのままに受け入れ、現実を深く実感することが、真の悟りへとつながる道なのです。